君を想う



もう少し自分の色気に気付いたほうがいいよ?

そう何度言いかけたかしれない。

だってそうだろ?

俺は自分以外の人間に、アンタのそんな顔を見せたくないんだよ。




そもそもあの奥州の蒼い竜は自分の色気に気付いてない節がある。

戦の時はああゆう無骨な鎧で身を固め、敵も味方も挑発する恐ろしい竜を演じているくせに、平時は粋な着物に身を固め風流を愛する雅な竜になる。

しかも顔立ちが小奇麗だから様になってて言うこと無しときたもんだ。

戦での竜と平時での竜のその格差に、戦った事のある武人は驚きつつも魅せられてるって事をアンタは知らないだろ?

だから平気で戦中、後先考えずに挑発しちまうんだよな〜。そんなに煽ったら後々どうなると思ってんだい?惚れられるだけじゃあ済まないよ?

まあ、かく言う俺もその一人なんだけどね。

アンタ押しには弱いし根は優しいから、自分に向けられる好意を邪険に出来ないだろうし。

好意を前面に押し出せば、嫌とは言えない性格だもんな。

ま、そこに付け込んだんだから、俺も大概と言やぁ大概だな。

でも他の野郎には付け込ませないでくれよ?独眼竜。




この前も奥州に遊びに行ったとき迷惑そうな顔をしながらも、雅な竜は覚えたての舞を舞ってくれたっけ。

『ま、練習ってトコだ。じゃなきゃアンタなんぞにこの俺が舞なんぞを披露してやるもんかよ』

な〜んて憎まれ口たたいちゃって、可愛いね〜。

そんなに頬を紅く染めてさ。俺にゃあ、そんな照れ隠しは通用しないって。

顔を伏せて、小さな声で言った独眼竜に、俺は感極まって抱きついちまったのも無理は無いだろ?その位可愛かったんだって。

俺の腕の中で、顔を真っ赤にしてもがいていたアンタがとっても愛しいよ。

頼むから俺以外にはなびいてくれるな。




ああ、竜に会いたくなってきた。

思えば、戦で初めて出会って恋に落ち、それ以来アンタを口説き落とそうと俺もがんばったなぁ。

まだ、結果は出て無いけど…。

アンタが俺の言葉を冗談としか見ていないのがイケないんだけど、でも俺だって負けちゃあいないよ?

何度だって口説いてやるさ。

いつか、俺が本気だって分からせてやるから、待っていなよ、独眼竜。

ソン時は泣いて許してって言ったって、許してやるもんか。




日は大安、くじは大吉。

さあて本日も、独眼竜を口説き落としに参りますか。



慶次視点の政宗サマ。
慶次って、あのしゃべり方といい
江戸っ子ってイメージがあります。
そして、粋な言い回しを目指して玉砕。
相変わらず文才無い…。